
エコキュートの電気代が気になる理由
エコキュートは「電気でお湯を沸かす給湯器」です。オール電化のご家庭や新築住宅などで採用されることが多く、省エネで環境にもやさしいと言われています。一方で、「電気でお湯を沸かすって、電気代が高くならない?」「ガス給湯器より本当におトクなの?」と不安になる方も多いです。
この記事では、エコキュートの電気代の仕組みから、節約のコツ、ガスとの違いまで、初心者の方にもわかりやすくお伝えしていきます。
エコキュートの電気代の仕組み
エコキュートの電気代を理解するには、まず「どうやってお湯をつくっているのか」を知ることが大切です。普通の電気温水器やガス給湯器とはお湯のつくり方が違うため、同じお湯を使っていても電気代のかかり方が変わってきます。この仕組みを知ると、「なぜ電気代を抑えられるのか」「逆にどんな使い方をすると高くなるのか」もイメージしやすくなります。
ヒートポンプで「少ない電気」でお湯を沸かす
エコキュートは、エアコンと同じように「ヒートポンプ」という仕組みを使います。空気中の熱を集めて利用することで、投入した電気エネルギー以上の熱エネルギーを取り出すことができます。
ざっくり言うと、「1の電気で3〜4くらいの熱をつくれる」イメージです。これがエコキュートが省エネと言われる理由で、同じ量のお湯を沸かす場合でも、従来の電気温水器より電気代を抑えやすくなります。
夜間電力プランとの組み合わせがポイント
エコキュートは、「電気代の安い時間帯にまとめてお湯を沸かして、タンクにためておく」しくみです。そのため、電力会社の「夜間料金が安くなるプラン」と組み合わせると、電気代をグッと抑えられます。
逆に、昼間の電気代が高い時間帯に何度も沸き上げがかかるような使い方をすると、電気代が高くなりやすくなります。ここが、エコキュートをおトクに使えるかどうかの大きな分かれ道です。
エコキュートの電気代はいくらくらい?目安の考え方
実際の電気代は、契約している電気料金プランやお住まいの地域、家族構成、入浴スタイルによって大きく変わります。そのため「必ずいくら」と断言することは難しいですが、考え方の目安を知っておくことで、ご家庭の光熱費イメージをつかみやすくなります。ここでは、あくまで「考え方」として参考になるポイントをご紹介します。
世帯人数別に電気代のイメージをつかむ
エコキュートの電気代は、使うお湯の量が増えるほど高くなります。そのため、世帯人数は電気代をイメージするうえで大きな要素です。
例えば、
・1〜2人暮らし:お湯の使用量が少なめで、タンク容量も小さいタイプを選びやすく、電気代は比較的抑えやすいです。
・3〜4人家族:標準的なタンク容量(370L〜460L程度)を使うケースが多く、電気代は「世帯の中心的な目安」になりやすいです。
・5人以上の大家族:お湯の使用量が多くなる分、タンク容量も大きめになりますが、ガス給湯器と比べても、使い方次第ではトータルの光熱費を抑えやすくなります。
こうしたイメージをもとに、ご自身のご家庭の人数や入浴回数を重ねて考えてみると、電気代の感覚がつかみやすくなります。
ガス給湯器との違いを「トータルの光熱費」で考える
「電気代だけ」で見ると、エコキュート導入後に電気代が増えたように感じることがあります。しかし、その分ガス代がゼロまたは大幅に減っているケースが多く、「ガス+電気」のトータルで見ると、全体の光熱費は下がっていることがよくあります。
特にオール電化の場合は、
・ガス基本料金がかからない
・電気料金プランがオール電化向けで割安になっている
といったメリットが加わるため、「電気代は増えたけど、毎月の総支払額は減った」というご家庭も少なくありません。電気代だけを切り取るのではなく、「世帯全体の光熱費」で比較することが大切です。
電気代を抑えるための設定・使い方のコツ
エコキュートは、省エネ性能そのものが高い設備ですが、設定や使い方を少し工夫するだけで、さらに電気代を抑えることができます。毎日のちょっとした意識の違いでも、1か月、1年と積み重なると、意外と大きな差になります。ここからは、今日からできる具体的な節約ポイントをご紹介します。
タンクの湯量・湯温を適切に設定する
多くのエコキュートには、「少なめ・標準・多め」といったお湯の量の設定があります。
・家族が減ったのに「多め」のままになっている
・来客が少ないのに常に最大量で沸かしている
といったケースでは、実は使い切れなかったお湯のために電気代を余分に払っていることがあります。
ライフスタイルに合わせて、
・平日は「標準」、週末だけ「多め」にする
・長期不在のときは湯量を「少なめ」やおまかせモードにする
といった調整をするだけでも、電気代のムダを減らせます。
「わきあげ」は夜間中心に、昼間はなるべく避ける
エコキュートの電気代を抑えるうえで重要なのが、「いつお湯を沸かすか」です。電気代の安い深夜帯にしっかり沸かし、昼間の割高な時間帯に急な沸き上げを起こさないようにすることがポイントです。
そのためには、
・追いだきや高温差し湯を何度も使いすぎない
・シャワーを夜間に集中させすぎず、家族で時間をずらす
・お風呂の栓をしっかり閉め、水漏れでお湯が減らないようにする
といった、ちょっとした使い方の工夫が効果的です。
お湯の使い方の見直しで「ムダを減らす」
エコキュートの電気代は、お湯の使用量に比例して増えていきます。つまり、「お湯のムダ遣い」を減らすことが最も確実な節約方法です。
例えば、
・シャワーを出しっぱなしにしない
・食器洗いのときは、必要なときだけお湯を使う
・お風呂の残り湯を洗濯に使う
など、日常の中でできる工夫はたくさんあります。エコキュートの性能だけに頼らず、家族みんなで「お湯を大切に使う」意識を持つことで、電気代の負担はぐっと軽くなります。
定期的なメンテナンスで効率をキープする
意外と見落とされがちですが、
・貯湯タンクの定期的な洗浄
・配管の点検
・フィルター掃除
などを怠ると、効率が落ちて余計な電気代がかかることがあります。取扱説明書に記載されている簡単なメンテナンスを定期的に行うことで、本来の省エネ性能を十分に発揮させることができます。
電気料金が上がってもエコキュートを選ぶメリット
最近は電気料金の値上がりが話題になることも多く、「これからはエコキュートは損なのでは?」と不安になる方もいらっしゃいます。ただ、電気料金が上がっても、エコキュートには次のようなメリットがあります。
・高効率なヒートポンプで、従来の電気給湯よりも電気使用量が少ない
・オール電化と組み合わせることで、ガス基本料金が不要になる
・再生可能エネルギーとの相性がよく、太陽光発電と組み合わせやすい
特に太陽光発電を導入しているご家庭では、自家発電した電気を活用しやすく、電気代の上昇リスクを抑える選択肢のひとつになります。
また、長期的に見れば、エコキュートはランニングコストだけでなく、CO₂排出量の削減にもつながるため、「家計」と「環境」の両面でメリットが期待できる設備と言えます。
まとめ:電気代の仕組みを知って上手に付き合おう
エコキュートの電気代は、
・ヒートポンプによる省エネ性能
・夜間の安い電気を活用する仕組み
・お湯の使い方や設定次第で大きく変わること
といったポイントを押さえておくことで、「思っていたよりも高くなかった」「ガスとのトータルで見るとおトクだった」と感じやすくなります。
まずは、ご家庭の
・世帯人数
・入浴のタイミング
・現在の電気料金プラン
を一度見直してみてください。そのうえで、湯量設定や使い方を少し調整するだけでも、エコキュートの電気代はしっかりコントロールできます。
エコキュートのメリットを活かしつつ、上手に電気代と付き合って、快適でムダのない暮らしを目指していきましょう。
